古民家ゲストハウス ゆいまーる オーナー

まちの安心デザイナー|旅人にとって居心地の良い体験をつくる

矢ヶ崎 芳恵(やがさき よしえ)

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矢ヶ崎 芳恵さんの”へんあい”

「北埜くん、辰野町にようこそ!」


ゆいまーるに泊まりに行くと、暖かいメッセージが玄関口でいつも迎えてくれる。ゲストハウスではなく、「辰野町へようこそ」と表現するのは、町全体を居場所に感じて欲しいから。


オーナーのかっぱちんは、ゆいまーるが地域と旅人を結ぶ架け橋となって、単なる旅を超えた「人間関係を紡げる旅であって欲しい」と考えている。そのために何より大切にしているのは、「安心感」。辰野町の穏やかなトーンの中で、「私ってここにいていいんだ」と思える、安心感に包まれながら居場所を感じてもらえる体験を提供したいと話す。


「だからこそ、相手が何を求めて旅しにきているのかを会話の中で丁寧に探るようにしているよ。何か目的がある人もいれば、何もしないということをしにきている人もいる。距離感をとって一人で寛ぎたい人も、繋がりも持ちたい人もいる。そういう細やかなニュアンスを受け取って、お迎えしたいなあと思うよ」。


安心してもらいたい。そのために玄関口のウェルカムボード、まちの案内図、アメニティの案内など、ちょっとしたメッセージに心を配る。(そのせいか、たまに家族そっちのけで対応してしまい、家族からクレームが入ることもあるという(笑))


「歓迎されている」訪れた人がそうやってじんわりと安心を感じられるのは、そういった心配りの賜物だと思う。今日もかっぱちんは、ゆいまーるという場所を通じて、辰野町全体がほっとできる居場所になるためのかけがえのない体験を旅人に提供している。


矢ヶ崎 芳恵さんの”へんれき”

長野県松本市生まれ。弟と妹を持つ長女。小中は松本市、高校は祖父や父のすすめもあり、厳格な道徳教育で有名な岐阜の全寮制高校進み、短大も家族のすすめで県内の短大へ進学。


そこで、女性学のゼミを主宰する杉本貴代栄先生に出会う。彼女はアメリカで研究者としてながく過ごし、性別に囚われずに自由な生き方を体現していた。小さい頃から「女の子」という理由だけでスカートを履く、赤い習字道具を買うのが違和感だったかっぱちんは「もっと自由に生きていいんだ」と大きく影響を受ける。


もっと広く世界を見て生き方を考えたいと、1年間ニュージーランドを旅する。行きの飛行機で隣の席だったデイビットと仲良くなったことをきっかけに、ニュージランド中の一般家庭に泊まらせてもらいながら、自転車旅に挑戦。途中、運よく現地旅行会社でアルバイトとしてツアーガイドの仕事をもらえたのをきっかけに、松本の帰郷後は、JTB松本支店の専属添乗員として、約7年間旅行のツアーコンダクターとして活躍。


海外に慣れていないお客さんが安心して旅してもらえるようなきめ細やかな心配りを学ぶ。その後、お客さんの紹介で東京・麻布台のアメリカンクラブのコンシェルジュに。ハイソな職場環境だったこともあり、精神的な負担も大きかった。「憧れの場所だけど、居場所にはならない」と感じて、32歳の時に実家の松本に帰る選択をする。


その後、長野県安曇野市のシャロムヒュッテで人生のメンターとなるドイツ人医師のアムさんと出会い、「自分の心の中が自由なら、海外にいても長野にいても自由でいられる」ということを実感。30カ国以上を旅して、優しく迎え入れてもらった経験を今度はお返ししたいと、旦那さんの浩一郎さんと共にゲストハウスを始め、約5年間で800人の外国人をはじめとしたゲストをお迎えする。


矢ヶ崎 芳恵さんの”これから”

「辰野町が行きつけの田舎になるような、ほっとできる居場所にしていきたい」


ゲストハウス単体ではなく、町全体がゲストハウスのように旅人を迎え入れるウェルカミングな町を目指して、まちまるごとゲストハウスプロジェクトを立ち上げたかっぱちん。


外国や県外など外に向けたクールな情報発信やラグジュアリーなおもてなしもいいけれど、アフターコロナの時代に大切になるのは、むしろ地域に根ざした等身大の情報発信とカジュアルで親しみを感じられる穏やかな人のつながりだと、かっぱちんは考えている。


ゲストハウスや地域に住む人同士が、価値観を共有して、根っこで繋がり合えたなら、その地域は安心感に満ちた居心地の良い場所になっていく。地域の人にとっていきやすい町になれば、旅人にとっても自然と居心地の良いフレンドリーな町になる。


「車を買えば1ヶ月は幸せかもしれない。家を買えば一年は幸せを感じられるかもしれない。けれど、人と人の安心できるつながりはいつまでも目減りしないし、ずっと続いていく。そういう続いていく幸せを人と人のつながりから紡いでいきたい」。


古民家ひとり暮らしさんに辰野の日常を切り取っていただきました。

with & after コロナに人々が求めるのは何だろう?

多分、それは人と人が《安心してつながれる》場所。

辰野町って、こじんまりしてて、人と人がゆる~くつながりあえて、綺麗な里山に囲まれてて、川の水は澄んでいて、そして、空気がめちゃくちゃキレイで・・・。

畑に田んぼ、子供たちの笑顔、コツコツ働く人々の横顔。

そんな人々の日常を《伝えられる》コンテンツを作りたい。

当たり前の毎日に感謝しながら、大切な仲間とともに、大好きなクリエイター、古民家ひとり暮らしさんにムービーを作ってもらいました。

何気ない日常の中にある幸せをお裾分けできたら嬉しいです。

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