◯と編集社 理事、ソーシャルバーPORTO店長

「やさしい世界」をつくりたい、コミュニティデザイナー

山下 実紗(やました みさ)

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山下実紗さんの”へんあい”

素敵な問いだけれど、考えたら難しかった。(笑)


強いて言うなら、「やさしい世界をつくりたい」偏愛かもしれない…。あぁこの人となら「やさしい世界」を作れそうと思ったら、謎なナンパをしてしまう。


じゃあ、「やさしい世界」ってなんだろう?

私なりの定義は、対話を通してX軸でもY軸でもない、Z軸を作ることができる、そんな世界。


心地よさは一人ひとり違っている。

家族団らんが好きな人もいれば、一人でいることが心地よいと感じる人もいるし、お互いのことを何でも知り合っているパートナーシップがいい人もいれば、お互いが知り得ない秘密を持っている関係の方が心地よい人もいる。

みんなが心地良いと思っているものが、実はみんなにとっての心地よさではないはず。


自分が心地よいから相手もそうだろうと思い込まず、対話を通して、互いにオリジナルなZ軸を作り合える人々のコミュニティ、それが「やさしい世界」だなと思う。


そんなそれぞれの心地よさを持ちつつ、他者を傷つけない世界。そんな世界を愛しているし、作っていきたいと思います。


山下実紗さんの”へんれき”

1993年生まれの千葉県出身。中高は仏教の女子校に通い、恩師である仏教の先生と出会い、「与楽抜苦」という言葉を教えてもらう。楽を与え、苦しみを抜く人…そんな在り方に憧れた。


大学進学は、異文化に触れた時のワクワク感がたまらなくて、上智大学のポルトガル語学科に進学。

入学して最初の頃は、自分で考えて行動したり、意見を言うことがすごく苦手だった。感覚的に生きづらさを感じていて、それを言語化できず、モヤモヤしていた。


そんな時に、野宿者支援を行なっていたゼミの先生の言葉が自分を救ってくれた。


「みんなが一つの方向に走ると、絶対にそこから落ちる人がいる。だったらそもそも同じ方向じゃない方に走っていくのも良いね。」


そうか、あえてみんなと違う道を進むことが、自分自身を守る術にもなるのか。それぞれが自分の心地よさを見つけていくこと、それこそが生きる術であり、周りにも優しくなれる方法なのかもしれない。

みんなで正解のないものを認め合って、尊重しあえる世界はきっと、やさしいのだとそこで学んだ。


大学3年時にはブラジルの大学に1年留学する。

持ち前の「やらかし癖」により、日本から持って行った全ての電子機器を壊し、さらには旅先のペルーから1ヶ月間帰国できない経験をするが、そこで優しい南米の人々に恵まれ、やさしい世界を体験した。人としての在り方や家族像の理想ができた。


ブラジル帰国後は「現場で頑張っている人が報われるような、社会の仕組み作りに関わりたい」と考え、中小企業の海外進出を手伝う独立行政法人JETROに就職が決まった。


だが仕事で関わるであろう中小企業の実態を知らなかったため、縁もゆかりもない辰野町の新聞販売店で1ヶ月住み込みでのインターンシップを行う。辰野町で出会った大人たちがやたら楽しそうで素敵だったので、「オトナって悪くない」と未来に希望を持ち始める。


 


それから5年後の今、なぜか私は勤めた会社を辞め、辰野町で小さな商いを組み合わせて生きている。辰野町での生活は、まるで「どうぶつの森」のようにDIYで、一般的な経済ではない経済が回っている。その生活は自分に合っているみたいだ。


自分なりのZ軸を見つけていくうちに、それが自分の中でのオリジナルになった。


人生で今が一番生きやすい。


山下実紗さんの”これから”

これからも自分なりにZ軸を見つけ続けたいと思う。

その時は心地よくても、環境や自分の気持ちによって、その状態は常に変化していくはずだから。


自分の中の心地よさが揺らいで不安になってしまう時でも、それをポジティブに「大丈夫だよ」って、みんなで笑いあえる世界に生きたい。


そしてそんなやさしい世界の住民に私は生かされています。

いつもみなさんありがとうございます…!


旅に出る