古着屋 O to &

100級建築士 〜貼る、吊る、置く〜

金井一記(かない かずき)

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金井一記さんの”へんあい”

「シンプルで簡単に居心地の良い空間構成をすること」

一見この言葉達を見ると、誰もが出来てしまうことのように思える。しかし、実際に金井さんが営む古着屋O to &(オトト)に訪れてみると誰もがこう感じるだろう。


“誰にでもできることなのに自分には出来ない”



そんな矛盾を感じさせてくれるのが金井さんの空間構成へんあいだ。ちなみに金井さんは最近 “自称100級建築士”と名乗る(笑)具体的にやっていることは下記の3つだ。


【100級建築士3種の神技】

①貼る・・・店内の壁をキャンパスに古材や流木等を貼り、アーティスティックな空間が表現されている。

②吊る・・・古民家特有の立派な梁を活かして紐をかけ、照明、アート作品、ドライフラワー、商品である古着が見事にディスプレイされている。

③置く・・・寛げるカフェスペースには、机、ソファ、自作本棚、自作DJブースの各々が本領発揮出来る場所にポジショニングされている。ちなみに“空間の斜め使い”がポイントだそう(笑)詳しくは店主まで。


インパクトドライバーとビスで物を貼る。梁に紐をかけて物を吊る。家具やアイテムを置く。“本当に誰にでも出来ること”だけだ。なのに、“出来る気がしない”金井さんワールド全開の“O to &空間”を体感してもらえれば、一目瞭然だろう。昼間に“ちょっとコーヒーを一杯だけ”と思って店を訪れると、居心地が良すぎて気付いたら日が暮れていたりすることもよくある(笑)こよなくO to &を愛する常連達は皆口を揃えて「沼にハマる」という表現をする。この表現について説明したいところだが、どうしても言葉だけでは説明しきれない。下手に言葉で表現して定義づけてしまうのは、O to & ファンの僕としても本望ではない(笑)

とにかく、ぜひ一度皆さんにも“沼にハマって欲しい”

お店の詳細については、ページ下部のリンクを貼っておきます。


金井一記さんの”へんれき”

京都市南区にある創業60年、自転車屋をルーツとした塗料卸会社の長男として生まれる。幼稚園から私立に通い、小学校は私立京都女子大学附属小学校を卒業。中学校受験の際は、「小学生の時に勉強しすぎて、もう本当に勉強をしたくないと思って、大学まで受験をしなくていいエスカレーターで進学できる同志社を選んだ」という。

同志社大学政策学部を卒業後、株式会社キーエンスに入社し、営業ルーキーランキング1位という成績を収め退社。その後、母方の実家である、京都市中京区に佇む“創業五百五十余年御用蕎麦司 本家尾張屋”の後継者として専務という立場で働き始めた。

通勤で使っていた自転車が壊れたことをきっかけに、仕事終わりに自宅と蕎麦屋の中間にあったナチュラルサイクルという複合施設(自転車屋&スタジオ&古着屋)に修理に訪れ、お店に魅了され自転車の修理が終わった後も通うようになった。ナチュラルサイクルにいる多様な人間(従業員もお客さんも)から多大な影響を受けた。

「それまでの人生で出会ったことのない人達ばっかりで、人間の見本市みたいだったね。こんなに人生は自由なんだ〜と感じた」と当時を振り返る。

ナチュラルサイクルと蕎麦屋の全く“正反対の世界”を行き来している最中、当時の社長と経営方針が合わず、蕎麦屋を辞める事になった。当時のことを金井さんは、「一旦全ての人生がリセットされた感覚だった」と話す。その後は、「完全にレールに乗っかっていた反発もあってか、海外に旅に出た」とのこと。

旅の資金を住み込みの季節労働(北海道のシャケの加工場、富士山の山小屋、沖縄のサトウキビ狩り等)で貯め、海外に行くというサイクルを数年繰り返していた。旅と季節労働の間の息継ぎの場として自分の拠点が欲しいと思い、地方の安い空き家を探し始めた。ご縁があったのが現在の物件(古着屋O to &)だ。引越してきた当初はお店を始めるという事は決まっておらず、当初の目的通りに、旅と季節労働の間の息継ぎ拠点として使っていた。

とある夜、現在のO to &(音楽と共に十の小商いで生きていく)プロジェクト構想が降ってきて始めた。


金井一記さんの”これから”

「音楽と共に十の小商いを作って生きていく」


古着屋O to &は開店して3年目。

古着屋、ライブハウス、DIYカフェの3つの生業が出来た。

「1年で1個ずつコンテンツを増やしていく予定で、新たな生業を仕込んでいる」と話してくれた。

開店当初のコンセプト通り、「音と共に十の小商いで生きていくことが出来た時、初めてO to &は音十となる」



一ファンとして、O to &が音十となるのが楽しみで仕方ない。

お店の日常や、イベント情報は下記のHPをチェックして欲しい。


O to & | 音十 |辰野町

長野県辰野町古着屋 O to & 令和〇年創業。
十の生業をつくるためのプロジェクト。
2018年11月に古着屋としてスタート。
2020年6月、店内に”DIY cafe 1㎡”を設置。​
世相落ち着き次第、”livehouse音十”を再起動。

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